2026年リフォームトレンド予測ー「断熱・エコ・スマート住宅」
目次
はじめに
今年も残り一ヶ月を切り、もうすぐ2026年を迎えますね。
今年家を建てた方やリフォームをされた方もいらっしゃると思いますが、ここ数年で暮らしと住まいを取り巻く環境は大きく変わりました。
単純に「かっこいい家」「住みやすい家」にするだけでなく、エネルギー価格の高騰や災害リスクの増加、AI・IoT技術の普及を背景に、住まいを快適で経済的、そして持続可能なものへアップデートしたいというニーズが高まってきています。
そして、2025年11月には経済産業省・国土交通省・環境省の三省が連携し、住宅の省エネ化を強化するための予算案が閣議決定されました。これにより、2026年も「住宅省エネ2026キャンペーン」を中心とした大規模な補助制度が継続され、断熱窓、高性能断熱材、高効率給湯器などを使ったリフォームが、これまで以上に取り組みやすくなると予想されます。
こうした政策の流れは、2026年のリフォーム市場の方向性を決定づける重要な要素となりそうです。
そこで今回は、2026年に注目されるであろうリフォームトレンドを「断熱・エコ・スマート住宅」という3つのポイントで予測しまとめました。
これからリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
国の補助制度が後押しする「省エネリフォーム」の広がり
まず、2026年に活用できる制度として大きな軸となるのが、住宅の断熱性・省エネ性向上を支援する国の補助金です。以下の4つは2026年も継続実施が確定しています。
- ・先進的窓リノベ2026事業
- ・給湯省エネ2026事業
- ・賃貸集合給湯省エネ2026事業
- ・みらいエコ住宅2026事業
出展：国土交通省「住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)」
これらの制度により、高断熱窓への交換や断熱材の追加、高効率給湯器への更新、環境配慮型の住宅改修など、住宅性能の向上に関わる幅広い工事が対象になる見込みです。
これまで“予算の問題でなかなか手が出せない”と感じられていた断熱リフォームが、一気に現実的な選択肢へと近づき、結果として、2026年は断熱・省エネに関するリフォームが大きく伸びる年になると予想できます。
1.「断熱リフォーム」が当たり前に
＜窓・開口部の改修が人気の中心へ＞
2026年のトレンドを予想する上で欠かせないのが、断熱性向上を目的としたリフォームの一般化です。なかでも、窓の断熱性能を高めるリフォームは、窓リフォームの補助金制度である「先進的窓リノベ事業」の追い風もあって急速に需要が伸びています。
窓は住宅の中でも熱の出入りが大きい場所であり、断熱性能の向上は居住空間の快適性に直結します。冬は暖かく、夏は涼しい空間をつくるだけでなく、光熱費の削減や結露対策にもつながるため、住環境を総合的に向上させる効果があります。
2.「エコ・高断熱住宅」への関心が加速
＜新築だけでなく”既存住宅のアップグレード”が主流に＞
ZEH（「Net Zero Energy House」＝エネルギー収支をゼロ以下にする家） に代表される高断熱・省エネ住宅は、これまで新築のイメージが強いものでした。しかし、補助制度の拡充によって、既存住宅でも高い断熱性能を実現できる改修が身近になりつつあります。
これを支える制度が、「みらいエコ住宅2026事業」です。
- ・「みらいエコ住宅2026事業」
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて住宅の省エネ化の支援を強化するため、国土交通省、環境省及び経済産業省の連携による「住宅省エネ2026キャンペーン」の実施を通じて、「ＧＸ志向型住宅の新築」、「子育て世帯等を対象とする長期優良住宅・ＺＥＨ水準住宅の新築」、「住宅の省エネリフォーム等」を支援する制度のこと。
これにより、「住み替えるか」「リフォームで住み続けるか」という選択において、後者が強い選択肢として浮上してくると予想されます。
光熱費の削減、快適性の向上、さらには住宅の資産価値維持という観点からも、高断熱リフォームの価値は高まる一方です。
3.スマート設備と省エネ機器の融合
＜住まい全体の省エネ管理へ＞
断熱と並んで注目されるのが、住宅設備の省エネ化とスマート化の融合です。
高効率給湯器や省エネ型住宅設備に加えて、IoT家電やエネルギーマネジメントシステムと連携させることで、住まい全体のエネルギーを可視化・最適化する“スマート省エネ住宅”のニーズが強まっています。
▼スマート省エネ住宅の例
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・「エネルギーを自動最適化」する住宅
太陽光発電・蓄電池・HEMS（エネルギーマネジメントシステム）を連携させ、「天気予測 × 電気料金 × 家庭内の使用状況」をAIが分析し、最も効率の良い電力利用を自動で行う住宅。
- 昼間の太陽光発電で蓄えた電力を、AIが夜間に最適配分
- 電気料金が高い時間帯は grid から買わずに蓄電池を優先
- EV（電気自動車）を家庭の蓄電池として活用
・ 高断熱＋スマート空調で「温度を常に快適に保つ」住宅
UA値・C値が優れた高断熱住宅に、AI制御のエアコンや全館空調を組み合わせ、最小限のエネルギーで24時間快適な室温を維持する住宅。
- 室温データをAIが学習し、冷暖房の運転を最適化
- 外気温・天気予測をもとに、必要な運転を事前に実施
- 家中の温度ムラがなくヒートショックも防止
・ IoT家電で「生活動線を最適化」する住宅
玄関・照明・エアコン・給湯器・シャッターなどを一括制御し、無駄な電力使用を防ぐ住宅。
- 外出時、声やスマホ操作で「一括オフ」
- 玄関ドアの開閉で照明や空調が連動
- 不在時は自動的に省エネモードへ移行
・「省エネ換気と空気質管理を自動化」する住宅
高性能フィルター搭載の換気システムと空気質センサーを連動させ、必要なときだけ換気量を最適化する住宅。
- CO₂濃度・PM2.5・湿度に合わせて換気量を調整
- 過剰換気によるエネルギーロスを防止
- 花粉やウイルス対策も同時に実現
・「省エネ照明と自動制御が融合」した住宅
LED照明に人感・明るさセンサーが搭載され、必要なときだけ点灯・調光される住宅。
- 不在時は自動消灯
- 日当たりに応じて照度を自動調整
- 家族の生活パターンを学習して最適化
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リフォームの計画段階から「断熱 × 設備 × IoT」をセットで検討する家庭が増え、住まいの性能をトータルで向上させる提案が今後の主流になっていくと考えられます。
社会背景が後押しする「省エネ住宅」への価値観の変化
こうしたリフォームの潮流の根底には、エネルギーコストの高騰や温暖化の深刻化を受けた国の政策転換があります。住宅の省エネ化は、もはや環境対策にとどまらず、家計の安定や健康的な暮らしを守るための重要な要素となりました。
生活者の間でも、快適性、経済性、そして環境配慮を同時に満たす住まいへの関心が急速に高まっています。
エコ住宅や断熱住宅が「意識の高い人だけの選択肢」ではなく、“暮らしの質を上げるためのスタンダード”に変わりつつあるのです。
補助金活用の注意点
補助制度は魅力的ですが、同時に注意も必要です。予算枠には上限があり、人気の制度ほど早期終了する可能性があります。また、工事の着工日や申請のタイミング、対象設備の条件など、制度ごとに細かなルールが設定されています。
断熱・窓・給湯器・スマート設備など、単体での改修よりも複数の組み合わせの方が補助金を有効活用できるケースも多いため、早めの計画と情報収集が成功のポイントになります。
2026年もすでに継続が決定している補助金制度も、専用ページや詳細がまだオープンになっていないものもあるため、リフォームを予定している方は随時情報チェックすることが重要です。
まとめ
2026年は、リフォーム市場が大きく動き出す節目の年になると考えられます。
キッチンや浴室の交換といった表面的なリフォームに加え、断熱・省エネ・スマート化を組み合わせた“住まいの性能向上リフォーム”が、新たなスタンダードとなるでしょう。
国の支援制度の拡充、脱炭素社会への移行、住まい手の意識変化が同時に進むことで、「断熱 × 省エネ × スマート」の三要素を備えた住宅が、今後ますます求められていきます。
暮らしをより豊かに、より快適にするための選択肢として、2026年のリフォーム市場には大きな期待が寄せられています。
2026年も補助金制度を上手く活用し、住まいを賢くアップデートしましょう！
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