失敗しないシステムキッチンの選び方とは?システムキッチンの6つの設備と選ぶポイントを紹介
システムキッチンという言葉が日本で使用されるようになって25年経ちます。
今ではすっかり定着したシステムキッチンですが、厳密な意味となると分からない人も多いのではないでしょうか。
目次
- システムキッチンとは
- システムキッチンと他のキッチンの違い
- システムキッチンの6つの設備と選ぶポイント
- システムキッチンの設備1 シンク
- システムキッチンの設備2 蛇口(水栓)
- システムキッチンの設備3 ワークトップ
- システムキッチンの設備4 フロアキャビネット
- システムキッチンの設備5 コンロ
- システムキッチンの設備6 レンジフード
- システムキッチンのレイアウトを選ぶ
- キッチンの主なスタイルは3つ
- クローズドキッチン
- オープンキッチン
- セミオープンキッチン
- 主なシステムキッチンタイプは4つ
- Ⅰ型
- L型
- アイランド型
- ペニンシュラ型
- システムキッチンを選ぶ上で考えるべきポイントは?
- 調理をするカウンターの作業スペース
- キッチンの通路などは広めにとる
- キッチンに必要な収納の大きさと使用頻度
- まとめ
システムキッチンとは
システムキッチンというとコンロ・調理台・シンクがまっすぐ横並びになっているものを想像する方が多いと思います。
ですが、単身者用のお部屋に付いている、コンロ・シンクがセットされたコンパクトなキッチンもシステムキッチンのひとつです。
ではそもそも、システムキッチンとはどのようなものなのでしょうか。
システムキッチンとは、流し台・コンロ・調理台・キッチン収納などが、ワークトップ(天板)で繋がる継ぎ目の無いキッチンのことです。
システムキッチンは取り付ける場所で各部材を組み合わせて作りあげるので、設置したいキッチンの間口と同じサイズにする事ができるのがメリット。 天板に隙間ができず水が滲み込む心配がないので、家事も快適にこなせるでしょう。
更に、キッチンとしての機能性とデザイン性の高さが大きな特徴です。 下に食器洗浄機やオーブンなどをはめ込むことができたり、ガスコンロをIHクッキングヒーターに変更したりすることもできます。
システムキッチンと他のキッチンの違い
システムキッチンとそうでないキッチンの違いは機能の差ではなく、天板で繋がり一体になっているキッチンか、流し台、コンロ、調理台などそれぞれを購入して組み合わせたキッチンかの違いなのです。
キッチンは構成の違いによって「システムキッチン」と「セクショナル(セパレート)キッチン」とに分類されます。
【テーブルコンロ】は、ホームセンターやキッチン用具店などで売っているコンロ部分を、あとから設置するタイプです。 それに対してガスコンロやIHコンロが組み込まれて一体型になっているものを[ビルトインコンロ]と言います。
【システムキッチン】はこのビルトインコンロがついているほか、シンク、調理台も付いており、天板と呼ばれる一枚板を乗せてキッチンが一続きになっているものを指します。
セクショナルキッチンは調理台やシンク、コンロがそれぞれ別の台になっていますので、自分の好みに合わせて必要な組み合わせを作ることができます。
また、交換したい部分だけ交換可能なので、システムキッチンだと全ての部分を交換しなければいけないことを考えると、交換費用を抑えることができます。
しかし、天板が一枚で繋がっていないので、台の間の継ぎ目が掃除しにくいというデメリットもあります。
ちなみに、ガスコンロの有無とシステムキッチンかどうかは関係がありません。 システムキッチンの場合でもビルトインされているガスコンロを取り外すことは可能です。 賃貸用の物件などではガスコンロだけを取り換えることも多いため、システムキッチンでもコンロが無いというケースもあるようです。
システムキッチンの6つの設備と選ぶポイント
システムキッチンの設備は主に以下の6つが挙げられます。
設備の説明とそれぞれの設備の選び方について紹介します。
システムキッチンの設備1 シンク
シンクを選ぶときには、洗い物の大きさや量を想定して、形や寸法を考えるのがおすすめ。 また耐久性や耐熱性、硬度・強度を考慮して素材にもこだわると、長く使えるシステムキッチンになります。
シンクによく使われている素材は、ステンレス製のシンクです。 ステンレスはぬめりやカビが付きにくいので、シンクを清潔に保つことができます。
ほかにも鋳鉄にホーローがけした、カラフルで耐久性・耐熱性にも優れた「鋳鉄ホーローシンク」、鋼板にホーローがけした「鋼板ホーローシンク」、プラスチック樹脂を化学的に固め、硬度・強度・耐熱性を高めた「樹脂系シンク」などがあります。
システムキッチンの設備2 蛇口(水栓)
蛇口は、システムキッチンにおいて重要な設備のひとつです。 そんな蛇口には、ボタンを押して水を出す物とレバーをひねって水を出す物、ホースが固定されている物と曲がる物など、様々な種類があります。
毎回ミネラルウォーターを買いに行くことは大変ですが、シンクの下に浄水器を取り付ければ、いつでも蛇口からおいしく綺麗な水を出せます。
システムキッチンの設備3 ワークトップ
ワークトップとは、システムキッチンの作業台のことです。 「カウンター」や「天板」と呼ばれることもあります。 ワークトップは利用頻度の高い部分なので、デザインや色味など以外にも様々な点に注目して選びましょう。
特に、耐久性や傷つきにくさなどを加味して選ぶことをおすすめします。 お湯がかかったり、熱い鍋を置いたりしたときなど、熱で形が変わると使いづらくなるので耐熱性も重要です。
システムキッチンの設備4 フロアキャビネット
フロアキャビネットはコンロやシンクの下の収納スペースです。
フロアキャビネットの扉は、「開き扉」と「引出し式」があります。
引出し式だと、開けたときに何が入っているか一目瞭然で、奥に入れた調味料や食器の取り出しも簡単です。 便利。 しかし引出しが多すぎると、一度の開閉で必要な物を取り出せなくなり、手間が増えます。 コンロ下、シンク下、調理台の下、それぞれの場所に何を収めるか想定して、必要な収納をデザインしましょう。
食器洗い乾燥機はシステムキッチンに取り付けるオプションのなかでも人気の高い機器です。 ビルトインできるのでスペースを取らず、乾燥機能も付いている物だと、洗ったあとはすぐに片付けができます。 消費水量を抑えて自動で洗い物を行なうので、時短効果もあり、水道代の節約にもなりますよ。
ちなみにゴミ箱もビルトインすれば、キッチンで出たゴミを捨てるのに、移動をする必要がありませんので便利です。
システムキッチンの設備5 コンロ
コンロはキッチンにほぼ必要不可欠な設備です。
火の通りや安全性など、コンロで変わる要素も大きいのでしっかりチェックしましょう。 IHとガスはどちらも一長一短があるので、それぞれの特長を調べて考えることが大切です。
従来はガスコンロが一般的でしたが、今ではIHも多く普及しています。 IHは対応した鍋を用意する必要がありますが、凹凸がないのでサッと拭くだけで簡単に掃除が行えるのがメリットです。
ガスコンロは掃除が大変ですが、フライパンをふる炒め物などの調理時でも鍋に熱が伝わり続け、料理しやすいというメリットもあります。
システムキッチンの設備6 レンジフード
レンジフードとはコンロ上に設置され、煙や臭いを排気するための設備です。 形状に種類があり、見た目や掃除の簡単さも変わります。
- コンロに覆いかぶさるような形をしているブーツ型
- 凹凸が少なく、油が付きづらいのでお手入れがしやすいスリム型
- 天井が低くても、省スペースで設置しやすいフラット型
掃除のしやすさや吸引力、見た目などから総合的に考えて選ぶようにしましょう。
システムキッチンのレイアウトを選ぶ
キッチンの位置やレイアウトによって使い勝手は大きく変わります。 キッチンが使いやすければ、お料理も楽しくなりますよ。 ここでは、キッチンレイアウトと選び方をお伝えします。
キッチンの主なスタイルは3つ
クローズドキッチン
クローズドキッチン(独立型キッチン)とは、オープンキッチンとは反対で、キッチンがダイニングや他の部屋と壁などによって独立したものです。
メリット
- 全体が見渡せる
- コンパクトなキッチンができる。
- 吊戸棚を付けることができる。
- 部屋を広く使うことができる。
家事動線が短いので料理を運ぶのが便利
デメリット
- 後ろを向いての作業になるので、疎外感がある
- すぐ後ろにダイニングテーブルを置く場合が多いので、冷蔵庫や食器棚、家電製品の置く位置を決めることが困難
オープンキッチン
オープンキッチンはリビングダイニングとキッチンの間に壁などで遮られるものがなく、開放感があるキッチンです。
メリット
- 家族の顔を見ながら料理ができる
- 開放感がある
- 食事の配膳がしやすい
- テレビを見ながら料理ができる
デメリット
- キッチンのにおいや音が部屋に広がりやすい
- ダイニングと合わせるとある程度の広さが必要になる
セミオープンキッチン
セミオープンキッチン(セミクローズドキッチン)は、オープンキッチンとクローズドキッチンのどちらの良さも持ったキッチンです。
調理中も家族との会話を楽しみたい方におすすめです。
メリット
- 配膳作業も合理的に行える
- 開放感をある程度確保しつつ、吊戸棚などの収納スペースも設置できる
- ダイニングとの間を適度に仕切って調理ができる
- 「火まわり」「水回り」を分離することで、収納がしやすい
デメリット
- キッチンのにおいや音が部屋に広がりやすい
- ダイニングと合わせるとある程度の広さが必要になる
主なシステムキッチンタイプは4つ
システムキッチンの型は、主に「I型」「L型」「ペニンシュラ型」「アイランド型」の4種類があります。 それぞれの型の特長を解説致します。
Ⅰ型
シンク、コンロを一直線に並べた最もシンプルかつ、基本的なシステムキッチンのレイアウトです。 キッチンの広さや大きさにかかわらず、最も一般的なキッチンです。
壁付けのキッチンだけでなく、壁を作って対面キッチンにすることもできます。 冷蔵庫の位置や食器棚の位置で使い勝手が異なりますので、配置のときは注意しましょう。
L型
シンク・コンロがL字に設置されているため、動線が理想とされる三角形になることで作業動線の距離が短くなります。
ただし、コーナー部分の奥行きが深くなるので収納が使いづらくなる点には注意しましょう。
アイランド型
四方が壁と接していない、島(アイランド)型のキッチンです。 シンクのみの場合やシンクやヒーター部分もアイランドになっている場合があります。 カウンターを広げてキッチンとテーブルとして使うようにしたものもあるなど、バリエーションがいろいろあるのが特徴です。
アイランド部分は独立しており、オープンキッチンの代表ともいえる形です。 どちらの方向からもアクセスできるので、動きやすいキッチンといえるでしょう。
ペニンシュラ型
キッチンの左右どちらかが壁に接している半島(ペニンシュラ)型のキッチンです。 最近の対面型キッチンで多く使われている形で、壁側にコンロを持ってくるのが一般的です。 アイランド型に比べるとレンジフードが取り付けやすく、油汚れも少なくすることができます。
アイランドキッチン、ペニンシュラキッチン共に、ニオイや煙が広がりやすいという対面キッチンならではのデメリットもあります。
システムキッチンを選ぶ上で考えるべきポイントは?
システムキッチンはデザイン性が高いことが特長です。 多彩なバリエーションの中から色や素材を選ぶことができ、自分好みのキッチンにカスタマイズできます。
ここからは、システムキッチンを選ぶ上で考えるべきポイントについて下記の3点で紹介していきます。
調理をするカウンターの作業スペース
移動距離を可能な限り短くするためには、ワークトライアングルという考え方が参考になります。
「ワークトライアングル」とは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3カ所を線で結んだときにできる三角形の動線をいいます。 正三角形に近いほど作業動線が良いといわれており、この3辺の距離が長いと、調理作業におけるムダな動きが多くなるといわれています。 逆に、短くなりすぎると収納や作業する際のスペースが不足することもあります。
まずは、家のキッチンにおけるワークトライアングルを確認し、動きやすさを確認すると良いでしょう。 ワークトライアングルの長さは、一般的に「2~3歩で移動できる長さ」が良いといわれています。 もう少し具体的にいうと、シンクとコンロ間は120~180cmくらいの距離がおすすめです。
そのうえで、キッチンに置く多くのアイテムを検討しなくてはなりません。 システムキッチンの場合、食洗器・ゴミ箱なども組み込めるようになっているため、効率的に作業ができ、キッチンの周りもスッキリします。
間口・奥行・高さを選ぶ
- ワークトップ:80cm/85cm/90cm
- 吊戸棚:50cm/60cm/70cm/90cm
カラーを選ぶ
- 扉カラー
- ワークトップカラー
機器を選ぶ
- 加熱機器
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
これらをしっかり話し合って選ぶことで、キッチン全体で使いやすくできます。
キッチンの通路などは広めにとる
将来のことも見越して、設備やサイズを考えてシステムキッチンを選ぶ必要があります。
システムキッチンの注意するポイントとしては「部分的な交換が難しい」ということです。 システムキッチンはすべての設備がひとつにまとまっているため、部分的な変更・交換ということが難しいです。
例えばシンクを交換する場合、シンクだけでなくワークトップごとの交換が、ほとんどの製品で必要となります。 そのため、2人以上で頻繁に調理する場合は、すれ違うことも考慮に入れて、100cm以上の通路幅があると便利でしょう。
キッチンに必要な収納の大きさと使用頻度
使いやすいウォールキャビネットの高さは、床から145cmほど離れた「自然と目に入ってすぐ手が届くゾーン」。 使いやすいワークトップの高さ(床から天板までの距離)の寸法は「身長 ÷ 2 + 5cm」で計測したものと言われています。
【おすすめ収納の目安】
- 収納力を優先したいなら寸法の長いロングサイズ(高さ90cm前後)
- すっきりとした見た目や費用面を優先するなら寸法の短いショートサイズ(高さ50cm前後)
それぞれに個人差があるため、ショールームで実物を見た上で調理のイメージをしてみるのがもっとも確実といえるでしょう。
ほかにも、電子レンジや炊飯器、独立型のオーブンなどご家庭によって使用頻度が多い調理機器が他にもある場合は、お料理の動線に組み込みやすいよう計画することも必要です。
まとめ
料理が好きな人も苦手な人も、一日に一度もキッチンを使わないという人は少ないのではないでしょうか。 毎日使うキッチンだからこそ、気持ち良く使うためにきれいに保っておきたいですよね。
自分がどんな暮らしをしたいのか、どんなふうにキッチンを使いたいのかをしっかり考えましょう。 そうすることで、家のどの位置にキッチンを置けばいいのか、どんなレイアウトにすればいいのかがわかります。
システムキッチンなら選べる幅も広いので、それぞれの好みに合ったベストなキッチンが見つかるはずです。
あなただけのレイアウトを考えたシステムキッチンで、使いやすく見た目も素敵な空間を作りましょう。